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- 2008年度 ラグビー専門部 全国 活動紹介
- 第33回 高等学校指導者研修会-3
第33回 高等学校指導者研修会-3
- 研究発表 「『日本最北』小規模校ラグビー部における5年間の取り組み」
- 研究発表 「富山県の高校生と中学生の交流」
- 研究発表 「米子東高校ラグビー部の現状について ―地方公立高校の部活動をめぐる諸課題― 」
研究発表 「『日本最北』小規模校ラグビー部における5年間の取り組み」
北海道立羽幌高等学校 岸本 泰輔
教員歴は10年目、前任校ではラグビー部がなかったので、現任校で指導歴5年目である。ラグビーの楽しさを子供達に伝えながら、自分もスキルアップしたいと考えている。過疎地の小規模校での取り組みを発表したい。
ラグビー部の指導ができるという希望を持って平成16年度に赴任したが、まさに挫折からのスタートであった。当初は新入生を加えて部員数9名、合同チームで5月・6月の大会を経たが、「どうせ15人集まらない」との理由で3年生が全員引退してしまった。1年生3名のみで夏休みの1年生大会に出場したが、野球部からの引き抜き等により部員が0となり、休部状態になってしまった。近隣の中学校へ案内を出してラグビー教室を実施(14名参加)、ラグビー部のパンフレットを作成して配布、体育授業へのラグビー導入、入試合格発表後の電話勧誘、自前のTシャツを持参しての家庭訪問等により、翌年には1年生が18名入部し復活した。しかし、花園予選・新人戦ともに敗れて公式戦を終了した。翌18年度は新入部員7名が入部し、全道大会に進出することができた。保護者会及びOB会も設立した。4年目の19年度は新入部員3名で、創部30周年記念行事を実施した。全道大会準決勝へ進出し、新聞にも取り上げられた。今年度は9名の新入生が入部して各大会に参加、10月の新人戦は合同チームで出場した。
赴任当時のラグビー部を取り巻く状況には、大会出場における生徒の経済的負担の重さ、保護者・地域・OBの関心の低さ、校内の部活動を統合する動き等の問題があった。部員の確保、部員をいかにラグビー漬けにするか、部のポスターを町内各所に掲示、校内におけるラグビー部のアピール等を考え、5年間取り組み実行してきた。平成19年6月23日には創部30周年記念式典を町長はじめ約200名を集めて開催し、ラグビーマガジンにも掲載された。5年間の取り組みによって、校内運動部の中では最も多い部員数を確保できるようになった。また、保護者会・OB会の支援・協力を得られるようにもなった。「羽幌高校でラグビーをするため」に入学を希望する生徒も現れており、中学生体験入学時のアンケートでは「羽幌高校=ラグビー部」という回答が№1であった。今後の課題としては部員の継続的な確保、魅力あるクラブ作りをはじめとして、芝グラウンドの獲得、羽幌町ラグビーフットボール協会の設立、小・中学校へのラグビー普及を考えている。
ラグビー競技の素晴らしさ・教育的価値を広め、地域・学校に応援され「愛されるラグビー部」をつくり、「羽幌町といえばラグビー」と言われるような活動母体・地域コミュニティを育て上げていくために、安定した部員確保のもとで地域内外から注目されるチーム力を築き、協力者や理解者を増やしていけるようにすることが必要であると考えている。北海道ラグビーの強化・普及、少子化・過疎化に負けない「羽幌ラグビー」の継続的な活動と発展を目指していきたい
研究発表 「富山県の高校生と中学生の交流」
高岡第一高等学校 吉田 治夫
富山県では中学・高校一貫指導体制を模索しつつ、活動を続けている。その現状を発表したい。
富山県内は魚津・富山・砺波・高岡の4地区に分けられるが、県内の移動が比較的容易だという利点がある。どの地区にも小学生対象のラグビースクールやラグビースポーツ少年団があり、特に砺波地区の少年団は小学生から花園での交流試合等に参加して他地区の底上げ効果も果たしている。しかし、中学校のラグビー部は魚津地区の2校にあるのみで、各地区のラグビースクールの中学生の人数も決して多くはない。そこで、県内移動の容易さを生かして中学生を集めての選抜チームを平成15年度に立ち上げた。
富山県中学生選抜チームは、県内中学校のラグビー部及びラグビースクールの中学生54名で構成されている。「選抜」と称しているが、54名全員が選抜チームのメンバーである。毎年4月に練習を開始して週2回の活動を行い、6月・7月には強化合宿を実施し、7月末に岐阜県数河高原で開催される関西中学生ラグビーフットボール大会をチームの大きな目標としている。現在Bリーグに所属しておりなかなか勝てなかったが、近年戦績が向上しAリーグ昇格を目指している。大会後も中学・高校交流会や他県への遠征を実施し、全国高校大会の県決勝では前座試合及び観戦を行っている。そして、雪に閉ざされてしまう直前の11月下旬に解散式を行うのが1年間の活動の概要である。
選抜チームのメンバーのほとんどは高校でもラグビーを続け、オール富山に選ばれた選手も多い。「『中学経験者』と『高校から始めた者』の差」について、部員生徒と指導者の双方にアンケートを行った。生徒は経験者も高校から始めた者も競技の理解度や状況判断等に違いがあると感じており、指導者は中学経験者の一生懸命にやる気持ちやチームの牽引的立場となりうること等の利点を挙げている。オール富山は現在北信越ブロックを勝ち抜いて本国体への出場を目標としているが、平成15年度以降中学経験者の増加に伴って戦績が向上しつつある。また、全国大会出場校においても中学経験者が増加し、経験者10名を擁して第88回大会に出場した富山工業高校は県代表として8年ぶりに一回戦を突破した。近年の全国大会出場校における中学経験者の割合を調べてみると、割合の高いチームが上位に進出する傾向が理解できる。
年に数回中学・高校交流会を実施し(平成20年度は7回実施)、AD形式・ホールドで等という安全面を配慮した形で中学生と高校1年生との交流試合を行っている。交流に関して中学生・高校1年生・指導者それぞれにアンケートをとったところ、高校1年生は中学生に対して好意的、中学生は高校1年生の力とスピードを認め、指導者は動機付けの面で有意義という意見が多く、全体的に大いに肯定的である。また、中学生は花園に行きたいという意識を強く持つと同時に、ラグビーを意識して進学先を考えているという傾向もある。さらに「中学経験が必要かどうか?」という問いに対しては、中学生・高校生はあまり必要性を感じていないが、指導者は中学校・高校ともに必要性を強く感じているという傾向も見られた。
交流会の今後についての中学校指導者・高校指導者それぞれの要望から、高校1年生のオール富山を結成して定期的に練習会を行うこと、オール富山をA・Bの2チーム体制(Bチームは翌年の国体チームとなる)とすること、県協会のスポーツアドバイザー制度を利用して講師の方を招き継続的な指導をしてもらうこと等が展望として挙げられている。個人的には限られた時間内での努力が大切だと感じている。
・質疑応答より
Q)遠征その他の費用はどのくらいか?
A)ウェア等で2~3万円、遠征1回につき2万円程度の費用がかかる。
Q)中学生の活動に入る時期はいつごろからか?
A)全員が中学校1年から3年間活動している。
研究発表 「米子東高校ラグビー部の現状について ―地方公立高校の部活動をめぐる諸課題― 」
鳥取県立米子東高等学校 後藤 真樹
現在母校のラグビー部の監督をしている。創立110周年を迎える伝統校であり東大・京大・医学部への進路希望の多い進学校でもあるが、文武両道の校風で今年度は陸上・ボートでインターハイに出場している。ボート部は全国優勝の実績があり、硬式野球部・サッカー部も全国大会出場の伝統と実績があり、各学年20名程度の部員がいる。
ラグビー部は1966年に同好会として発足、翌年には中国大会に出場し1970年代には2回中国大会Aブロックで優勝した。3年生が全国大会予選まで引退せずに残るようになってからは1989年に花園に初出場、1999年には初勝利を収めた。OBには山陰放送テレビ総局局長もいる。
過去9回もの花園出場の実績をもつものの、今年度は部員不足の状態で始まった。選抜大会鳥取県予選は不参加となり中国合同チーム大会に出場したが、部員のうち2名がジャパンセブンズの中国地区選抜、1名がU18の中国代表に選出され、モチベーションの向上になった。春季大会は7人制の部に参加して準優勝し、中国大会は米子工業との合同チームで出場した。県総体は10人制の部で出場して優勝、全国合同チーム大会ではカップ3位、単独チームで出場した花園予選は準決勝敗退であった。
近年の部活動を取り巻く状況には厳しいものがある。少子化を反映してどの部も部員不足に悩んでおり、特に団体競技においては深刻である。県内のラグビーの競技人口はこの10年で約3分の2に減少し、ラグビー部はここ数年部員数20人弱で推移している。入学してくる生徒も受験産業の浸透による影響で主体性の低下が見られ、外遊びの経験も少なく基本的な運動能力(特に調整能力)も低下している。対人関係の希薄化も顕著である。学校自体も変容し、夏季休業が短縮され自由放任の傾向から大学現役合格を目指す指導体制が強化されてきている。
県内には東部・中部・西部それぞれにラグビースクールがあり、ここ10年で人数は増加している。しかし、中学校のラグビー部は皆無であり、体育授業での実践校が1校、その他はクラブチームが出前授業を行っている程度である。中学校への積極的な働きかけが必要であると考えている。高校(高体連加盟6校)における指導者も十分ではなく、教員の新規採用も少ない。個人的にも校務の他に県協会業務も重なって、グラウンドで指導できる時間も減少しているのが現状である。
学校の敷地内には3面のグラウンドがあり、ラグビー部は常時半面を使用できる。ウェイト・トレーニング場も有しており、環境には恵まれている。また、多数のOBが所属しているクラブチームがあり、合同練習を行っている。これを今後中学校への普及指導につなげていければ、と考えている。OBからの経済的なバックアップを得られる状況にもあり、以上の点を生かして将来を展望していきたい。さらに、合同チーム大会に参加して、ゲーム理解の深化・モチベーションの向上等大いに得るものがあった。合同チーム大会へも積極的に参加していきたい。OBを教員としてUターンさせて指導者を育成していくことが必要であるとも考えているが、残念ながら妙案はない。教員以外の指導者やスタッフの確保が必要である。最近、サッカーの指導に取り入れられている言語技術教育(思考を論理的に組み立て、相手が理解できるように分かりやすく表現する能力を身につけさせる教育)に注目している。ラグビーの指導にも導入していく必要性を感じている。
※各講演及び研究発表後は、積極的な質疑応答がなされました。また、各都道府県より運営上の現状等についての報告もなされました。なお、第14回(平成2年)より第27回(平成15年)までの指導者研修会の記録を収めた「高等学校ラグビーフットボール指導者研修会紀要(第二巻)」を一部500円にてお取り扱いしております。高等学校での指導におけるヒントも多く載せられております。
※ご希望の方は、運営委員の川中子 修(東京都立富士高等学校内:〒164-0013 東京都中野区弥生町5-21-1 TEL:03-3382-0601 FAX:03-3382-8224)までご連絡ください。















